5.4乾燥の合理化
染色工程は乾燥−湿潤のくり返しが数回にわたって行われます。水の蒸発潜熱は1kgあたり約2,300kJと大きく,熱を加えて蒸発により水分を除く乾燥操作には多くのエネルギーを必要とします。しかし,この乾燥工程はあまり管理されておらず省エネの落とし穴になっています。染色仕上加工工程の合理化による乾燥回数の減少とともに,ここでは乾燥におけるポイントをご紹介します。
(1)絞りをよくして乾燥機の負荷を減らすことが大切です。
湿潤した繊維が乾燥する過程は水を含んだ繊維が昇温し,水分が蒸発し始めると一定温度を保ちます。蒸発した水分は排気され布の乾燥が進みます。この過程を次の条件で熱計算します。
・計算例
含水率100%の綿布100kgを乾燥させるとします。
| 綿 |
比熱 0.31 cal/(g・K)(=1.3kJ/kg・K) 20℃ |
| 水 |
比熱 4.186kJ/kg |
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100℃における水の蒸発潜熱 2256.9kJ/kg |
- 綿布100kgを100℃まで昇温させるためには
- 1.3×100×(100−25)=9,750kJ
- 100kg布上の水100kgを100℃まで昇温させるためには
- 4.186×100×(100−25)=31,395kJ
- この100℃の水を100℃の蒸気に変えるためには
- 100×2256.9=225,690kJ
合計では267MJの熱量を必要とすることになります。したがって,乾燥に要するエネルギーを少なくするためには,繊維の保持する水分の量をいかに減少させるかということが重要です。布は可能な限り十分に絞りましょう。
(2)乾燥機の調製を大切に
乾燥機はダンパーなどによる空気流量の調整と,布の通過速度の調整が行われます。乾燥機による空気流量の調整は潜熱を多く含む蒸気を乾燥機内から排出することのみが重要視され,どうしても新鮮な空気が過剰に供給されがちです。図9に乾燥コストと水蒸気容量の関係を示しました。この図を見れば乾燥機内部の水蒸気の容量が20%の時,エネルギーコストが最小であることがわかります。
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図10 乾燥コストと水蒸気量
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